ゆえの日常生活と創作小話。
『恋心・・・番外編/11、紅犬の野望と桜の巻』更新!
2007年04月07日 (土) | 編集 |
『恋心・・・番外編/11、紅犬の野望と桜の巻』更新です!

うは・・・ど、どうしよう???(苦手な人は、回れ右!!)

怪しいけど、最後は、ハッピー?!てへへへ(笑って、逃げるな!!)

恋次が弱い子だ・・・修兵が強気?

【恋心・・・番外編/11、紅犬の野望と桜の巻】



一瞬、何が起こったのか、理解出来なかった。


唯、目の前にいる、後輩に掴まれた


手首が痛くて、振り解けなくて


其れから、彼の腕の中に、閉じ込められている


己に、気が付いた時


冷たい瞳を宿し、此方を見ている、後輩に


「ずっと、あんたの事が好きだった・・・。」


冷たさを含む、声で告白され

思わず、震えてしまった、己が滑稽に思える。


気付かなかった訳じゃない


気付いてなかった訳じゃない


気付かない振りをしていただけ


唯の『先輩、後輩』で、いたかったから


わざと、気付かない振りをしていただけ


そう望んだのは、己自身・・・


其れが、悪かったのか?


今になって、ツケが回って来たのだろうか?


不意に、温かいモノが、己の唇に触れていて


ぼんやりと、考えに浸っていた、己の意識が


現実に戻って来る。


其れは、目の前にいる、後輩に


口付けをされていた、と云う認識。


こんな結末は、望んでいなかった・・・


望んでなどいなかった


彼が、これ以上


己の中に、入り込まない内に


知らず、知らず、噛み付いて


抵抗していた。


流れ出た血は、どちらの物なのだろう・・・?



強く握られた、手を振り解いて

目の前にいる後輩に、キツイ一発を食らわす。

思いっきり、殴りつけたけれど

倒れ込まなかったのは、矢張り、ウェイトの差か?

「お前・・・ざけんな!欲求不満なら、他の女の当たれ!!」

グイッと、口の端を拭って、睨みつけると

「真面目な話かと思えば、いきなり下らない事、仕掛けやがって
 俺が・・・誰と付き合おうが、お前に関係ないだろう?」



下らない・・・?


何で?


貴方の事が、本気で好きなのに


何で・・・判ってくれないんですか?


如何して、そんな事云うんですか?


阿散井の瞳が、傷付いた子供のように揺れる。

其の視線を逸らすように、檜佐木は

軽く、溜息を付き

「冗談も、大概にしろよ・・・。
 ほら、さっさと、落ちた物拾えよ・・・。」

一角さん達が、頸長くして、待っているのは

お前だって、承知しているだろう?

「・・・ったく、こんなに捌いちまって
 缶凹んでないだろうな?」

等と言いながら、荷物を拾っていれば

グイッと、思い切り、引っ張られたかと思えば

視界が暗転する。

気付いた時には、地面に叩き付けられており

其の衝撃で、一瞬息が出来なくて

「・・・っ!!」

背中に、強い痛みが走る。

気付けば、後輩に組み敷かれていた。

両腕は、阿散井の強い力で、繋ぎ止められていて

「って・・・おい、阿散井、何の真・似・・・?!」

振り解きたくて、其の力に抗おうと、抵抗しながら

相手を睨みつけ、言葉を、ぶつけようとしたのに

此方を見ている、阿散井の表情は、今にも泣きそうで

悲しげな瞳で、見下ろしていたから

云い掛けていた言葉を、檜佐木は飲み込む。

理不尽な扱いを受けているのは、此方なのに

如何して、お前は・・・そんな顔をする必要がある?

「・・・何で、冗談だと、思ってるんですか?
 俺、本気なのに・・・ずっと、ずっと、あんたが好きでした。」


貴方が、俺の前に、現れた時から


ヒヨッ子だった、俺達を助ける為に


一人で、巨大虚に、向かっていった時には


もう・・・惹かれていたんです。


貴方が見せた、強い眼差しに


惹かれていたんです・・・。


ポツリと、己の頬に落ちたのは、彼の涙・・・。


「何で・・・判ってくれないんですか・・・。
 あんたの事、好きなのに・・・。
 好きで、好きで、しょうがなくて・・・
 なのに、あんたは、俺の気持ちなんか、お構い無しに
 やちると、付き合って・・・なんで、アイツなんですか?!」


傍にいた時間は、己が長くて


彼との付き合いも・・・


己の方が、長い筈なのに


如何して、人は、こうも簡単に、奪って行くのだろう?


大切なモノを・・・


己の手から、擦り抜けさせて行くのだろう・・・。


最初は、共に過ごした、流魂外の仲間達


次は、大切な幼馴染・ルキア


其れから・・・彼、檜佐木修兵


「俺が、今、どれだけ、酷い心を持っているか
 教えてあげましょうか?
 あんたと、やちるの仲を、引き裂きたいって思う程
 俺の心は・・・辛くて、苦しいんですよ。」


阿散井は、諦めにも似た、笑みを浮かべた侭

檜佐木を見据え、淡々と告げて行く。

其の言葉を聞いた時、檜佐木の瞳が、見開かれる。


気付けば、繋ぎ止められていた、彼の手は

力が、籠っていなくて、其れに気付いて

そうっと、其れを外して

泣いている、阿散井の頬に、手をやり

彼の瞳から流れている、涙を拭って見せながら

「苦しかったよな、ずっと、心を隠して来たんだろ?
 ・・・ホントは、知っていたんだ・・・。
 お前が、俺に感情を、素直に、ぶつけて来るから・・・。
 お前の気持ち、何となく、判っていたんだ。」

驚いたような、表情を見せる阿散井に

目許を緩ませながら、檜佐木は、己の言葉を続ける。


でも、ごめん・・・


お前の気持ちに、答えてやれない


俺は、あの子を


大切にしてやりたいから


彼女を守りたいと思うから・・・。


「お前の気持ちは、嬉しいけど・・・
 受け止めてやる事は、出来ないから・・・。」


だから、ごめん・・・恋次・・・


憎いのなら・・・


あの子では無く、俺を恨んで良いから


どんな罰も、罵りも、俺が受けるから・・・


悲しい程、綺麗な笑みを浮かべられ

優しく涙を拭うから

「・・・っく・・う・・・ふぇ・・・。」

涙が、後から、後から、溢れ出て来て

零れ落ちる、涙を止めたいのに

止まらなくて

子供のように、泣きじゃくっていた。

こんなに泣いたのは、何時振りかと思う位

見っとも無く、泣いていた。

気が付けば、彼が、優しく抱き締めてくれていて

己の肩に、頭を押し付けるように

優しく、背中を叩いてくれた。

酷い事を言って、貴方を傷付けた

酷い事をしたのは、俺なのに

貴方と、彼女を引き裂こうとまで、考えたのに

何故、貴方は、こうまでして、人に優しく出来るんですか?

貴方の肩には、俺の涙が染み込んで行く。

断られたのに、貴方の事は、嫌いになれない

己が居る・・・。


やちるが、羨ましかった。


この人の、優しい思いも、優しい眼差しも


温かい温もりも、凡て向けられて・・・


俺には、絶対、手に入らない物だったから


羨ましいと、思っていた反面


二人の間に流れている


暖かい空間・・・俺、嫌いじゃなかったんです。


だって、知ってました?


貴方は、やちるの傍にいる時


幸せそうな顔していたんです・・・。


俺が、引き出せなかった部分を


彼女が、引き出していたんです。


俺なんかが・・・


敵う訳、無いじゃないですか・・・。


「・・・好きでした。」

「うん・・・好きでいてくれてありがとう。」

「ずっと、好きでした・・・。」

「恋次、気持ちを伝えてくれて、ありがとうな・・・。」

泣いて、肩に押し付けていた、顔をあげて

檜佐木を見れば

優しく、綺麗な笑みを見せられ

「・・・っ!」

又、涙が出てしまって、檜佐木は、何も言わず

泣いている彼を、肩に押し付け、濡れるのも構わず

優しく抱きしめ、ずっと、阿散井の背中を

子供をあやすように、叩いてやる。

「檜・檜佐木さん、すんません・・・俺、涙が・・・」

止まらないっす・・・。

困ったような、泣き声交じりで、言葉を呟けば

檜佐木の小さな笑いが、耳に聞こえて

「気にすんな・・・泣け、泣け、誰も見てないから。」

あ、でも、水だけは、垂らすなよ?

軽い冗談まで、言われて

阿散井は、肩に頭を、押し付けたまま頷く・・・。

声を殺しながら、泣いて

だけど、背中から伝わる、彼の温かさが心地良くて

阿散井は、心の中で呟いていた。


今だけ、今だけで、良いですから


貴方に、甘えさせて下さい。


俺、明日からは


又・・・笑うようにしますから・・・


きっと、笑えますから・・・


だから、今だけ・・・貴方の温もりに、触れさせて下さい。





「凄い顔だな、阿散井・・・。」

泣き過ぎて、不細工になってるぞ?

檜佐木が意地悪く、笑って告げれば

阿散井は、バツが悪そうに、檜佐木から視線を逸らし

目元を、ゴシゴシしながら

「う~云わないで下さい。俺、凄っげえ、カッコ悪いっす!」

檜佐木は、阿散井がしている行為を、止めると

休憩所らしき場所を指して

「ほら、あそこで、顔洗って来い!少しは、違って来るぞ?」

目許、真っ赤だぞ?

顔を覗き込まれ、優しく云われ

「そうっすね・・・。俺、あそこで、腫れ引くまで、冷やしてるんで
 先、行ってて貰えますか?」

でないと、俺・・・あいつ等に、何て云われるか・・・。

阿散井の云った、あいつ等とは、きっと

オレンジ色の髪を持つ、死神代行の少年の事だ・・・。

苦笑いを浮かべ、此方を見ている、阿散井に

檜佐木は、短く「判った」と告げ

彼の様子を伺うように

「・・・大丈夫か?」

彼の心配気に、揺れている瞳に、気付き

阿散井は、慌てて、彼に心配かけないように

「平気っす!・・・檜佐木先輩!!」

「ん・・・?」

下に俯きながら、言い澱んでしまう。

彼に言わねばならない。

先程、己が、彼に行った

愚行の謝りを述べねばならない。

「あの・・・さっきの、其の・キスの事なんですけど。」

叱られた子供のように、ポツポツと、言葉を落とすから

檜佐木は、フッと、笑うと・・・

阿散井の肩を、軽く叩いて

「ああ・・・気にするな。
 お互い、酒が入っての事だ・・・。」

其の言葉に、顔を上げ

檜佐木に向かって、頭を下げる。

「すんません・・・。」

「良い・・・謝るな。」

阿散井は、顔を上げ、真っ直ぐ、檜佐木を見据えながら

「俺、あんたに振られても、やっぱり、好きっすよ!
 でも、其れは、檜佐木修兵と言う人を・・・
 尊敬してって、事ですから!!」


俺、少しは・・・笑えてます?


時間掛かるかも、知れないけど・・・。


あんたとは、きっと


唯の『先輩後輩』で、共に、居られると思うから・・・


檜佐木は、一度瞑目し、其れから

穏やかな瞳の色を宿し、阿散井を見遣ると

「そっか・・・先、行ってるな?」

「ういっす!!」

阿散井の返事を聞き、檜佐木は

先に、一護達の元に向かうのだった・・・。

檜佐木の、後姿を見ながら

「・・・大丈夫っすよ。
 俺、ちゃんと乗り越えますから・・・。」


貴方の事を好きになって、良かったって、思える日が


きっと、笑い話として、語れる日が来ると思うから


貴方に、想いを告げた事、後悔してないから・・・。


だから・・・


「あんたは、絶対・・・やちると、二人で幸せになってください!」


貴方が、幸せになる事


其れが、俺の望みなんですから・・・。
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