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こっそり、真夜中に


『 天使のキオク(君と僕はそこにいた・後日談8) 』


明けまして、おめでとうございます。

本年も、よろしくお願い致します。

皆さまにとって、良い年でありますように…………




飛翔と電光の天敵登場(笑)

だけど、一夜は気付いてません…………。



コンコン……と、控えめな音が、扉の外から聞こえた。

「あーーー、誰だろうな、な?電光!!」

「おお!若しかしたら、一夜のお袋さんかも知れんわ!!」


渡りに船……ありがとう、神様!俺達助かった!!


行き成り必死というか、先程迄の事から話を逸らそうとしているのか

慌てて喋り始めてしまうから

桐ケ谷は、一夜に気付かれない様に、舌打ちをした…………。

立ち上がり掛けていた一夜に、飛翔が

「あ、俺が出るよ。」

「わいも!一夜は座っとき、病人なんやから。」

いそいそと扉に向かう二人に、一夜は困ったように笑うしか無くて、二人の背中を見送った。

飛翔と電光は舞台上で、観客を出迎えるような調子で

「「はい、は~い!今あけまーーーす!!」」と勢い良く、扉を開けて正面を見た。

扉の前に立っていたのは、一夜の母親ではなく

彼の兄・忍武が其処に立っていた。

「「げえっ!!」」

「……随分な挨拶じゃねえか。鷲崎、鷹城……仮にも先輩に対して、そんな態度はねえだろ。」

思いっきり今、現在、逢うのは不味かったんじゃね?と、顔をしてしまっている

二人を軽く睨み付け、横を通り過ぎ様、そう言い放つと

忍武は弟の部屋に入って行った。

忍武の手には、母が用意したであろう、紅茶とケーキを乗せた、トレイを持っていた。

兄の姿を見た途端、一夜の顔が綻び「しーくん、お帰りなさい。」と、彼を出迎え

桐ケ谷は「お邪魔してます。」と、挨拶をした……。

忍武は紅茶とケーキが乗せてあるトレイを、彼等の近くに置く。

「ただいま、一夜……熱、下がったんだな。安心したぞ。」

「心配かけて、ごめんね、しーくん。」

一夜の言葉に、忍武は緩く頸を振ると、其れの答えを返すように

弟の髪の毛を、くしゃりと掻き回し乍ら、隣にいる桐ケ谷を見た。

「桐ケ谷、何時も済まないな。」

「いえ、気にしないで下さい。」

「まあ、ゆっくりしていってくれ……。一夜、余り燥ぐなよ。」


熱が振り返しても知らないぞ?


ニヤッと笑う、兄・忍武に対し、一夜は軽く頬を膨らませ

「燥がないし……しーくんの意地悪。」

忍武は軽く笑い「そうだな、俺が悪かった。」と云い終わると

もう一度、一夜の髪の毛を掻き回した。

「冷めないうちにな。」

そう告げた後、忍武は部屋から出て行こうとした。

未だ扉の近くに立ち竦んだ侭でいる、飛翔と電光の二人に視線を向けはしたが

忍武の瞳は、冷たい色を宿していた。

彼等に掛ける言葉などなく、忍武は其の侭、彼らの傍を通り過ぎた。

部屋の扉が、静かに閉まる。


飛翔と電光は、一夜が二人の名を呼ぶ、其の時迄、其の場に立ち尽くした侭でいた。





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テーマ : 自作小説(二次創作) - ジャンル : 小説・文学