ゆえの日常生活と創作小話。
一回消えたけど、もう一回打ち直した
2015年11月18日 (水) | 編集 |
『 天使のキオク(君と僕はそこにいた8) 』

天使・海堂兄弟パラレル更新です。

多分、こっちは後3話分で終わるかな?

其々の注文を終え、電光達がレジで会計を済ませていれば…………


「見てよ。あれ……凄くない?」

「やだ、超可愛いんですけど!!」

「どうやったら、イルカが離れないのかな……後で教えて貰う?」

漏れ聞こえて来た、女の子達の姦しい声


…………そう云えば、一夜も、イルカ好きだったなあ等と思いだす。

レジ周辺を見渡した時、レストランの反対側にある、ショップに目が行く。

其処は水族館の定番ともいえる、海洋生物を模した縫い包みから、キーホルダー

コップに文房具、クッキーの類等、兎に角様々な種類の、お土産になるような物が売られていた。

飛翔の視線は、棚に並べられている、イルカで止まる……。

イルカのショーを見詰めていた、一夜の顔を思い出す。

鳶色の瞳が、キラキラと輝いていて

あの時見せていた笑顔は

大水槽で見せた、あの綺麗な笑みとは、全く違っていたから…………

飛翔は「よし!」と呟き、頷くと

レジとは反対側にある、受け取り口カウンターで、レシートを持ち、料理が出てくるのを待っている電光に

「電光、未だ大丈夫だよな?」

「うん?ま、そやな……わいらの前にも、未だ並んどるから大丈夫やろ。どないしたんや?」

己達の前に並んでいる人数を確認しながら、電光が答えれば

飛翔は、レストランの反値側にある、ショップを指示し

「俺、ちょっと行って来て良いか?」

「あー別に構わんけど、でも為るべく早うな?流石に、わいも全部は、よう持っていけれんで?」

注文したのは3人分、確かに、此れを一人で持っていくのは辛い。

「判ってる。直ぐ済ませて来るからさ!」

電光にそう言い切ると、飛翔は、ショップへと向かった…………。




どれ位経過したのだろうか?

否時間にすれば、ほんの数十分なのかも知れない…………。

不意に服の裾を引っ張られている事に、気が付いて

水槽に凭れるようにしていた体を起こせば

其処には小さな子ども達が、数人集まっており、一夜を見ていた。

何だろうと思い「……ん?」と、小さく頸を傾げば

一夜の服を掴んだ侭でいる、女の子が、口を尖らせて

「……おにいちゃん、ずるい。イルカさんと、ずっといっしょ!」

「……え?」

女の子に指摘され、水槽を見れば

最初は一匹だけ、一夜の傍にいた筈だったのに、今は皆、その周辺を漂っている。

つまり一夜の傍から、イルカが離れない為

イルカを見に来ている、小さなお子様達にとっては、不満だったらしい…………。

其れと改めて席周辺の様子を窺えば、物珍し気に此方を見ている人達が立ち止まって居たり

中には携帯カメラやデジカメ等で、撮影をしている人達もいて

其の事に気付いた途端、一夜の顔は朱に染まる。

「……ごめんね。」

傍にいた子ども達に謝ると、一夜は水槽に視線を向け、軽く強化ガラスに手を当てた。


「……傍にいてくれてありがとう。俺は、大丈夫だから、自由に泳いで。」


彼の言葉が通じたのか、其れとも彼を取り囲む、雰囲気を感じ取ったのか…………?


一夜の傍にいたイルカ以外は、一斉に離れ、彼の願い通り、自由に水槽の中を泳ぎ始めた。

最後まで残っていたイルカは、お別れをするように、水槽越しに当てている一夜の掌に口を寄せた。

まるでイルカからの、キスの様にも思え…………そうして、ゆっくりと、彼の傍から離れて行った。

イルカ達が泳ぎ始めれば、子ども達は、きゃあきゃあと騒ぎ始め

イルカ達が動く方向へと移動し始め

周辺で立ち止まっていた人々も、時間を取り戻したかのように、動き始めた…………。

軽く溜め息を吐き、肩の力を抜いた時、未だ動いていない子どもがいた。

最初に一夜に話し掛けた女の子だ。

彼女は、じいっと……一夜の顔を、不思議そうな顔で見詰めていた。

「如何かしたのかな?」

同じ目線になる様に、屈み込めば

彼女は頻りに、一夜の後ろを気にしながら、おずおずと口を開いた。

「……おにいちゃん、天使様?」

「……?」

一瞬、何を言われたのか判らなかった…………。

一夜が戸惑っていると、彼女は

「おにいちゃんのせなかにね、つばさがあるの。」


………………とってもきれいな、くろいつばさなの。


「……黒い翼?」


彼女は頷くと、もう他に云う事は無いとばかりに、其の場を離れた……。

もうイルカ達を追い駆ける方に、夢中になっている。

其の様子を見詰めた侭、一夜は少女の言葉に、引掛りを覚えた。

子どもの戯言と括ってしまえば、気にしなくてもいい…………。

けれど何となく気になって、一夜は水槽に映る己の姿を見たが

彼女の云うような背中に、黒い翼など在る筈もなく

如何して、彼女は、あんな事を云ったのだろうか?

考えてみても答えは出てこない。

「……子どもの空想世界かな?」

偶々イルカ達が傍に寄って来ていたから、そう思ったのかも知れないと

自分を納得させると、彼は水槽に視線を向けた。





蒼穹から降り注ぐ光の加減で



水槽の中で泳ぐイルカ達は、幻想的な世界を作り出していた………………。





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