ゆえの日常生活と創作小話。
今回も色々伏線アリな……鋼鉄の翼
2015年11月04日 (水) | 編集 |
『 天使のキオク(君と僕はそこにいた2) 』を更新です。


今回の話にも、過去と伏線が入り混じってます。


*** 設定補足 ***

今更ですが……海堂兄弟ネタには、年齢操作入ってます(笑)

* 海堂忍武→17歳

* 海堂一夜→12歳

* 鷲崎飛翔→12歳

* 鷹城電光→12歳


* 桐ケ谷君と一夜の成績について クラス&学年の1・2位 (入れ替わり在ります)
                         実は学園に入る時、軽い試験があり、桐ケ谷君の点数が僅かに上だったので
                         新入生代表だったりします。

* 飛翔と電光は、得意科目以外は略赤点です。



「……うん、基礎は出来てるけど、応用で引っ掛かってるね。」

飛翔の解いた問題の答えを見ながら、桐ケ谷の用意した回答と照らし合わせる。

「でも此の位なら、何度か問題を解けば大丈夫だと思うんだけど…………。」

一夜はそう云い乍ら、プリント問題集を見て、彼が解けそうな問題が無いか、チェックを始めた。

長めの前髪が、さらりと流れる。



……………………そうやってチェックする姿が、重なる。



「あ……」と云って、手を伸ばし掛けた。



………………………………………………其の姿を繋ぎ留めたくて



飛翔の声が聞こえたのだろう。

一夜がプリント問題から顔を上げて「如何かした?」と、問えば

飛翔は伸ばし掛けた手を引込めて

「否、その……そうだ!一夜ってさ、いっつも休日、何してるんだ?」

「休日?大体、家で本読んでるけど……?」

一夜の返答に思わず、ガクッとなりながらも、飛翔は気を取り直し

「他には……?誰かと遊んだり、出掛けたりはしないのか?」

頸を傾げて此方を見る仕草に、ちょっとドキリとし乍ら、彼の言葉を待つ…………。


そういう仕草は、今も昔も変わらない。


唯あの時は、ぽやんとした感じでもなくて、きつい眼差しで睨まれてばかりだったけれど………………


一夜は視線をプリント問題集に落とし、幾つかの問題に印を付け乍ら

「……休日は、しーくんの部活動があるから、其れを見に行ったり、大会とかあれば、家族で応援に行ってるよ。」

印をつけ終われば「はい……。」と云って、飛翔にプリント問題集を渡した。

飛翔は問題に視線を落としがするが、けれど…………

「……友達と遊んだりはしないのか?」

(友達)…………飛翔の言葉に、一瞬だけ、寂しそうな顔を見せたが

直ぐに其れを隠し、一夜は小さな笑みを浮かべて

「飛翔君、話てばかりだと進まないよ。其の印付けてある問題が解ければ、追試は何とかなると思うから、頑張って。」

此れ以上、お喋りに付き合う気が無いのだろう。

一夜は自分も勉強する為に、今日宿題で出された、英語の課題に取り組もうとしていたが

飛翔が、その課題を取り上げた。

「飛翔君?」

訝し気に此方を見遣る一夜に、飛翔の蒼い瞳が、真直ぐ彼を見詰めた。

蒼い瞳と鳶色の瞳の視線が重なり合う…………。

「さっきの質問の答え聞いてない。一夜ってさ、家族以外で誰と遊んでるんだ?」

「勉強と関係ないよね?」

「……関係ないけど、こういう時でもないと色々話せないだろ。」

一夜は軽く溜め息を吐いて、飛翔の手から英語の課題を奪い返すと

「……しーくんも一緒が多いけど、遊ぶ場合は、藤丸先輩や、カイル、小鳥遊先輩達とかならあるよ。」

「小鳥遊先輩って?」

「しーくんのバスケ部の主将だよ。」

一夜の口から出た名前は、覚えが在り過ぎる名前だ。聞き慣れない名前を問えば、素直に答えてくれる。

うん、此の辺りは、ツンデレ女王様とは違うかも知れない。


「質問時間は終了……ほら、勉強しよ?」

「あ、最後に一つだけ!!」

飛翔は上着のポケットから或るチケットを取り出すと、一夜の手を取り、其れを握らせた…………。

そして凄く真剣な顔付きで、彼を見ると

「明後日の日曜日、10時に駅の改札口で待ってる。」

飛翔から握らされたチケットを見れば

其れは水族館(アクアリウム)のチケット…………一夜が困惑した表情で、彼を見詰めた。

「飛翔君、俺行けるか如何か判らないよ…………。だから此れは返す。」

チケットを突き返そうとしたが、飛翔は其れを受け取らず

「……俺、待ってるから…………一夜が来るまで、ずっと待ってるから。」

半ば宣言の様に言い切った飛翔は、プリント問題集に手を付け始めた…………。

突き返す筈だった、チケットを握り締めた侭

一夜は如何すれば良いのか判らない顔で、唯、彼を見ていた…………。





「……お前達、何を考えている?」

桐ケ谷が、二人の様子を気にしながら、電光に問うた。

電光は問題とにらめっこをしていたが、顔を上げ、一度二人に視線を刳れ

其れからもう一度、問題へと視線を戻すと

「何って……わいらは唯、一夜と遊びたいだけや。それ以外、何があるっちゅうねん?」

桐ケ谷は一夜同様、英語の課題を片付けながら

「そうか……だが俺には、お前達の都合で、海堂を振り回しているようにも見えるが?」

吐き出された言葉に対して、電光は手にしていたシャープペンに力が入る。

ボキッと云う、芯の折れる音が、やけに鮮明に聞こえた。

「そないな事ある訳ないやろ……何言うとんねん。」

「だが俺が見知ってる限り、海堂先輩や武者小路副生徒会長には、余り歓迎されてないな…………。」

バッサリと切り捨てるかの如く、突っ込んでくる桐ケ谷に

電光は問題を解く手を止めた。軽く溜め息を吐いた後

「そりゃわいらが、一夜に変な芸を覚えさせようとしてるんちゃうかって、目え光らせ取るだけやろ。」

「其れだけか?先輩方は……お前達に係わらせたく無い様に見えるが?」

「そないな事、ある訳ないやろ……一夜は、わいらの大切な友達や。それの何が悪い。」

桐ケ谷の瞳が真直ぐ、電光を見る。

桐ケ谷の云う通り、己も飛翔も……忍武や藤丸達に、余り良い感情を持たれていない。

其れは此の学園に転校してきた時から、ひしひしと感じてはいた。

何度か一夜に接触を図ろうとした時も、何時もタイミングを見計らったように

現れては、己達が話し掛ける前に、一夜を連れ出す事も、屡々あった…………。




…………どんなに許しを乞うても、許されへん事もあるんや。


けれど一度離してしまった


その光を、もう一度掴めるのなら…………今度は、きっと己達は離さない。




「彼奴らが…………どんなに邪魔しようと、わいらの友情は、誰にも止められへん!!」

ふんっと胸を張って言い放った電光に、桐ケ谷は暫く見詰めた後「そうか」と云い

メガネのフレームを上げ直し

「海堂は余り、躰が丈夫じゃないんだ。其処を気を付けてやってくれ…………。」

その情報に一拍置いた後、電光は、ニッと笑って「了解や!!」と答えた。


「……序に云うなら、其処の問題間違ってるぞ。」


「ぐはっ!其処は見逃せえな!!」


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