ゆえの日常生活と創作小話。
鋼鉄の翼の話(前後編)終了
2015年09月28日 (月) | 編集 |

『 言葉のいらない約束 』

第8・5話(後編)更新

別名:電光不憫編(笑)

どうもゆえは、電光を苛めたい傾向にあるらしい……というか、コメディ要員担当にしたいらしい。

別館は、此れのパロバージョンを掲載してます(笑)

其れは別名 「幽霊ビビらせ事件(笑)」

一夜のお茶目な悪戯事件です。

一夜の持つ属性だからこそ出来るともいえる話でした。

何時か引っ張ってきます。








「拙者、一夜殿の笑顔が見れて、嬉しいでござるよ。」


あんなに安心して笑っている笑顔は、イギリス以来でござるからな………ニンニン!!



「そういや、一夜の奴……日本に来て仕事以外は、殆ど笑ってないな。」

顔の筋肉使う様に指導すっかなあ~~~等と、カイルの言葉で思い出したように、忍武がぼやく。

「仕事の時は、常に営業スマイルだからな……一夜の自然に出た笑顔は、レア中のレアだ。俺も笑うか?」

聖人の言葉に、カイルが

「や、聖人殿は無口が売りでござるから、そのまんまで良いでござるよ。ニンニン!!」

「……別に売りにしてる訳じゃあないんだが。俺も偶には喋りたいぞ。」

「……やめとけ。お前が喋ると、お前の発言を、一夜がフォローし切れなくなる。」

忍武の言葉に、カイルが思いっきり頷き

「以前、聖人殿の発言をフォローした後の、一夜殿は、真っ白でござった………ニンニン!!」

「……俺の発言、そんなに酷かったか?」

「「そらあもう、周囲が凍り付いてたぜ(凍り付いていたでござるよ)!!」

忍武や聖人達の会話に、疾風が「そうなの?」と藤丸に問えば、藤丸は頷き

「聖人さんの発言は或る意味、爆弾なんですよね。本人は気付いてないんでしょうけど、周囲を凍り付かせる天才というか……」


其れをフォローした後の、一夜さんも神経を擦り減らしていると云うか………


初めて知る藤丸達の一部分……普段の彼らの態度からは想像出来ないと云うのが、疾風の素直な感想だ。

疾風が目を丸くして、藤丸を見ていると、彼は目元を緩ませ

「意外でしたか?」

「うん……正直考えられない。」

「まあそうでしょうね。実は色々あるんですよ、僕達って……でも、これ以上は教えません。」

「……藤丸君?」

「秘密にしておきたいんです……。」


だからすみません、疾風君……これ以上先は、僕らの大切な思い出なので、触れないで貰えますか?


申し訳なさそうに謝る藤丸に、疾風は緩く頸を振り

「ううん……誰だって触れられたくない部分ってあると思うんだ。気にしないで、藤丸君」




先程から耳をダンボにして聞いている限り、何だか面白そうなネタ話じゃないか。

電光はにんまりと笑い、後ろの席で遊んでいる一夜を見た。

此方で何が話されているのか、全くと言って良い程気にもせず

じゃんけん手遊びから、又、走り回っている。笑い声交じりだ。

その様子を見詰めた侭、にまにまと締まりのない顔をし

「……一夜の笑った顔ねえ、ふーん。」

何かを思い付いたのだろう……。

電光はにまにまとした表情から、人の悪い笑みへと変わり

その笑みを浮かべた侭、叫んだ。

「おーい、其処のちびっ子ども!一夜、ちょい!こっち来てみい!!」

電光の声に、飛翔と二人で追い掛けごっこをしていた、一夜は立ち止まり、頸を軽く傾げた。

飛翔も電光と、一夜を交互に見比べている。

電光は笑みを浮かべて「こいこい」と、一夜を手招きして見せた。

何故呼ばれたのか判らないまま、一夜が素直に、電光の元へ向かうけれど

先程の一件……裸のまま追い駆けられた事もあるせいか

一夜は電光に対し、未だ警戒心を解いていないらしく

少し距離を空けて立ち止まり、じいっと疑うような色合いを込めた瞳で見詰めた。

そして感情の籠らない声で「なに?」と、訊ねた。

まるで毛を逆立てた猫のような警戒心を露わにされ、電光は笑いを含んだ声で

「なんや、なんや……まーだ、疑うんか?俺の信用ガタ落ちやな……ま、ええわ!」

そう云い終わると電光は一夜の前に一歩進んで

それから行き成り、一夜の両頬を、むにっと引っ張り始めた…………。

「……ひゃひ(なに)!?」

一夜の困惑を余所に、むにむにと引っ張り、電光は神妙な顔つきで、一夜の顔をまじまじと見詰め

「うーん、確かに頬の伸びは悪くないなあ……このほっぺたも柔らかいし」


……今のうちだけ堪能出来る、マシュマロっちゅう訳やな。


元の姿に戻ったら、お前……まあた何時もの、しかめっ面ばっかりするんやろうなあ。


まあ笑った方が可愛いのになあ……お前、顔良いのに、勿体無いわあ~~~。


折角の綺麗処なのに、此の侭じゃ、人生の半分は損するぞ~~~!


ほーれ、ほれ、笑ってみ?


ぐりぐりと、頬を引っ張られる…………。

電光の顔は相変わらず、にまにまと笑っている。

「ふぁにゃふぇふぉ(離せよ)!!」

唯名前を呼ばれて電光の処に来ただけなのに、如何して、こんな事になっているのか…………。

一夜は必死に電光の手を退かそうとしていた。

けれど体格差もあるけれど、子どもの力では、彼の手を取り外す事が出来ないのが悔しい。

ずっと引っ張られているせいか、頬も何だかじんじんとしてきて

何で、自分がこんな事をされねばならないのか判らなくて

そう考えると無性に腹が起ってきて…………だから、此の行動は、当然ともいえる。



「…………っ、かげんにしろおおおおおお!!」



がっごおーーーーーん!!



渾身の力を込めて、一夜の振り上げた足は


見事に、電光にヒットした。





…………電光の(男)として、一番辛い部分に、ダメージを与える事が出来た。





「が……あ、あ……お……おま………………っ!!」

涙目で転がり、悶え苦しむ姿の電光を

フンッと見下ろすと、一夜は思いっきり舌を出した。

その様子を見ていた仲間達は、冷たい眼差しで、無様な姿の電光を見詰めていた。

「何、馬鹿なことをやってるのさ、電光は」

「……馬鹿だ、馬鹿だとは思っていたが、正真正銘の大馬鹿者だな。」

「当然の報いです……。後、一夜さんに、何て事をさせるんですか!!」

「藤丸(ママ)が怒ったでござる!一夜殿、ほっぺたがリンゴになってるでござるよ!!」

「……聖人出番だ。」

「判ってる……一夜、こっちに来い。」

忍武と共にいる聖人に手招きをされるが、やはり電光のした行為の事もあってか

今度は、そう簡単に近付こうとはしなかった。

一夜の瞳には、警戒の色が浮かんでいる………………。

「其の侭の状態では頬が腫れて、辛いぞ。治療するから、此方へ来い。」

聖人の言葉に思わず、両頬を抑えてしまった。

如何しようかと視線を彷徨わせていれば、一夜の視線が藤丸達と重なり

そして彼らの瞳が優しい色をしており、安心させるように

「大丈夫ですよ。聖人さんに任せて下さい。」

藤丸の言葉を信じて、素直に、ちょっと癖の強い髪形をした青年の許へ向かう。

聖人は一夜の両頬に手を当てると「フェニックスヒーリング」と、呟き頬の治療を施した。

暖かい光に触れ、じんじんと痺れた痛みは、引いていく…………。

聖人は小さく息を吐くと「どうだ、まだ痛むか?」と、問えば、一夜は頸を振り

聖人を見ると、ぺこりと頭を下げ、お礼を伝えた。

「ありがとうございます。」

聖人は一瞬驚いたような表情を見せたが、やがて目元を緩めて「構わんさ……。」といい、くしゃりと一夜の頭を撫でた。

隣にいた忍武も、ポンッと、一夜の頭に手をやり、視線が合うと

「えらいぞ、ちゃんと、お礼の言葉を伝えたな。」

えらい、えらい……と、褒められて、ちょっとだけ恥ずかしくて、顔を下に向けてしまう。

頭を、わしゃわしゃとされるが侭になっていると、急に背中に重みが増した。

一夜の後ろから見えた小さな影……飛翔だ。

飛翔が一夜の背中に張り付いており、その顔は何だか面白く無さそうな感じだ。

「……ザキ?」

「如何した?」と問い掛けても、飛翔は「何でもない。」と云うが、けれど何となく、ご機嫌斜めのようだ。

「おーい?」と、軽く声を掛けても、返事はない。

飛翔は、ぶすっとした感じで、彼の背中に張り付いていた。

其の様子を見ていた藤丸や疾風……仲間達は、飛翔の機嫌の悪さの理由に、何と無く気付いていた。

恐らく彼は友達でもある(ミナミ≠一夜)が、飛翔から、自分から離れていくのではと…………子ども心に思ってしまったのだろう。

何だかんだと理由を付けながらも、あの電光でさえも、一夜に構い始めたのだ。

其れが飛翔にとって、面白くないのだ…………。

未だ未熟な子どもゆえの、幼く幼稚な考えに過ぎない。

子どもの世界は広いようで、狭く、限られている…………その均衡が破れてしまえば、彼らの世界は壊されていく。

その小さな世界を壊して欲しくないから、守ろうとしているのだ…………。

何時か壊される、その日まで…………




何度か呼び掛けても返事をしない飛翔に、苛立つ事も無く

無理矢理背中に張り付いている、飛翔を引き剥がそうともせず、一夜は飛翔の頭を、よしよしと撫でていた。

理由は判らない……けれど、こういう時の飛翔は、兎に角甘えたがるのだけは判っていた。

だから好きにさせている。

其れが判っているから、一夜は飛翔の頭を撫で続けた。








飛翔の、此の行動理由が


まさか自分が他人と仲良くしている事が原因だとは、微塵にも思っていない一夜だった…………。





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