ゆえの日常生活と創作小話。
鋼鉄の翼の話を続けて更新
2015年09月22日 (火) | 編集 |

『言葉のいらない約束』

第6話目更新


変身前に着ていた服は、実は弾け飛びます。

なので彼らは毎回着替えをせねばならない状況なのです。

服を着たままの変身だったら、良かったのに……



*** マイ設定 ***

*一夜は体重が落ちたりすると、パパから食育指導が入ります。

*二人が半分こにしてるのは、種類をなるべく食べたいから(笑)




「馬鹿なんですか?馬鹿なんですよね?貴方達、馬鹿決定ですよね!?」



一番年下で、物腰が柔らかいと定評ある、少年の辛辣な言葉の数々が、ぐさぐさと容赦なく突き刺さる。

ライディーン・ダイノの言葉の刃が、ホーク・アウル・アーザス・コンドル達にダメージを与えた。

「幾ら、その被り物を取れと言われても、もっと遣り様が在った筈でしょうが!!」

少年達の悲鳴は、他の仲間に届くには充分過ぎて

悲鳴が聞こえた場所に、急いで駆け付けた時

其処で彼らが見たものは

逃げ惑う、飛翔と一夜の二人を、裸体の姿を晒した侭

彼らを追い駆け回す、ホーク達の姿以外何もなく…………………………。

其の様を見たダイノがキレるには、充分過ぎる程で

キレたダイノは、ゴッドバードチェンジをして、ホーク達を一撃で仕留めたのだ。

その際、飛翔と一夜は巻き込まれない様に、ブラッド達が密かに救出していた。

今彼らは…………裸の侭でいるのは、子どもの教育上宜しくないと判断され

腰にタオル一枚を捲き付けた状態で、正座をさせられ、ダイノの説教を受けている真っ最中だった…………。



そんな状態の彼らから充分距離を取った場所に、飛翔達はいた。

彼らの傍には、既に変身を解除し、ちゃんと服に身を包んだ

ライディーン・ファルコンこと(大鳥疾風)

ライディーン・ブラッドこと(海堂忍武)

ライディーン・フェニックスこと(椿 聖人)

「はい、二人とも喉が渇いたでしょ……お腹も空いてるんじゃない?」

疾風が彼等に飲み物を渡し、忍武達に頼んで買って来て貰った、ドーナッツが入った箱の中を見せた。

箱の中には、色々な種類が詰め込まれていた。

「どれが好き?」

飛翔はほんの一瞬、青い瞳を輝かせ、箱と疾風の顔を何度も見比べた。

疾風は、そんな飛翔の子どもらしい部分に笑みを浮かべ

「どれでも好きなの選んで良いんだよ。」

其の言葉に、飛翔は甘そうなチョコレートが掛かったドーナッツを手にした。

疾風は飛翔が美味しそうに食べている姿に、ほっとしたような表情を見せ

其れから彼の隣にいる、一夜に声をかけた。

「君は、どれにする?遠慮せずに好きなの選んで良いんだよ。」

飛翔の時と同じように、疾風が一夜に箱の中を見せるが、彼は頸を振り手にしようとしなかった。

「若しかして、ドーナッツ……嫌いだった?」

疾風の問い掛けさえ、頸を振って答えた後、ぽつりと小さな声で

「……食べたくない。」

そう答えると、膝の間に顔を埋めた。

一夜の顔色は冴えない。精神的ショックが、大きいのだろう…………。

其れもそうかと、疾風は思い、ダイノの説教を受けている4人を見た。

子どもに戻ってしまっている彼らからすれば、己達は見ず知らずの他人であり

そんな他人に追い駆けられたのだ。

しかも裸でだ。裸のまま追い駆けられたのだ。

其れは、かなりの恐怖だ。怖かったと思う…………。

幼い心が深いダメージを受けるには、充分過ぎる理由だ。

疾風が如何しようかと考えていると「大鳥疾風」と、呼ばれ

声の主を見遣れば、其処には聖人達がいて

「……必要なら、一夜を少し眠らせる事も出来るが?」

聖人の申し出に、疾風は「出来るの?」と尋ねれば、聖人は頷いた。

疾風は少し考え込み、一人頷くと

「そうだね、少し眠らせた方が落ち着けるかも知れない。……頼んでいいかな?」

「任せろ……。」

疾風達の話が纏まり、一夜の傍に聖人が近付こうとした。



元気をすっかりなくしてしまった一夜に、飛翔はドーナッツを食べる手を止めて、彼を見た。

「ミナミ……大丈夫か?」

「…………」

…………一夜からの返事はない。飛翔は手に持っているドーナッツを見遣ると

自分が齧ってない部分を千切り、とんとんと……一夜の肩を軽く叩いた。

一夜は顔だけ動かし「なに?」と目で答え、飛翔の方を見た。

飛翔はニッと笑うと、手にしていた、ドーナッツを差し出した。

其れは少し小振りに千切られたドーナッツ、チョコも、しっかり付いている。

しかし其れを見て一夜は、ほんの一瞬顔を歪めた。

「此れ位なら食べても平気だろ、ミナミ」


ミナミ、それ以上細くなったら(食育する)って、おじさんに言われてるじゃん。


「やなこと、思い出させるなよ。」

本当に嫌なのだろう……一夜は恨めし気に、飛翔を見た。

「じゃあ、食べようぜ?」

んっと、差し出されたドーナッツ……一夜は素直に受け取り、チョコ掛けドーナッツを口にした。

もぐもぐと……租借して飲み込む。

口の中に残る甘さに、ちょっとだけ辟易し

まだ飲んでいなかった、ペットボトルの蓋を開けて、口の中をすっきりさせる。

「甘い……」

「ひょごひゃふぉん(チョコだもん)」

口の中に未だ物が残ってる段階で告げる飛翔に、一夜は軽く小突く真似をし

「……次、ポンデがいい。」

「うん、判った。」



少年達の間で行われていた事に対して、聖人は困ったように笑い

「眠りをかける必要は無くなったな。」

「そうだね。」

恐らく、もう大丈夫だろう…………。

顔色は完全に良いとは言えないが、それでも少しだけ復活と云う事だろうか?

疾風達では如何にも出来なかった事を、飛翔は難なくしてみせた。


…………本当に、二人の間に何があったんだろう?





「疾風君」と呼ばれ、視線を二人から外せば

其処にはダイノに変身したままの、藤丸がいて…………

彼は疾風の傍に行くと

「如何ですか、彼らの様子は……?」

「飛翔さんは大分元気になったけど、一夜さんは未だ引き摺ってるみたい。」


でも、ドーナッツも食べ始めたし……大丈夫だと思うよ。


「そうですか……。」

ダイノが彼らを見た時には、忍武が持っている箱の中から

二つ目のドーナッツを手にしている飛翔がいた。

疾風も、聖人も、忍武も、それを見て思わず笑ってしまう。

飛翔が手にしているドーナッツは(ポンデリング)で、其れは先程、一夜が云ったドーナッツだからだ。

真ん中で、半分こになるように割って、両方が見えるように差し出せば

一夜が選んだのは、少し長さが短くなってしまった方で

飛翔が何かを言う前に残っていた、長いほうのポンデリングを手にすると

有無を言わさず、飛翔の口の中へ突っ込んだ。

飛翔が口をもごもごさせながら、何かを言ってるようだが、やがて何を言っても無駄と理解したのか

其れとも彼らからすれば何時ものことなのか、ちょっとだけ一夜を睨むと

大人しく、食べ始めたのだった。

飛翔が食べ始めたのを見た一夜は、少しだけ笑みを浮かべて見せ

彼も自分が手にしていた、ポンデリングを口にしたのだった。

微笑ましい二人の様子に、癒されていたダイノだったが

行き成り、前が遮られた。

真白い紙袋……それを目の前に突き付けられたのだ。

ダイノが素直に手にすれば…………其処にいたのは、聖人だった。

彼は後ろの木が多い茂っている場所を示し

「向こうで着替えて来い……。」

そう云うと残りの紙袋を持って、未だ正座をさせられた侭の

仲間の元へと足を向けたのだった。



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