ゆえの日常生活と創作小話。
うっかりしていたよ…
2010年04月20日 (火) | 編集 |


鰤、連載更新

「桜、かぜに囚われる」5話目



そして力任せに、がしがしと白哉の頭を掻き回した。

「……っ!!」

夜一の手を引き剥がそうと、白哉が抵抗を始めても

彼の扱いに慣れているのか、夜一には全く通じず、ずっと掻き回したままだった。

「修坊、小奴はお前よりほんの少し歳は上じゃが…きっと良き遊び相手になる筈じゃ。」


ほれほれ、白哉坊、挨拶位致さぬか。


頭に載せてあった掌の行く先は、白哉の白い頬に辿り着き

ちょんちょんと、軽く小突き始めていた。

今度こそ、その手を邪険に払い退けたかと思えば

夜一に、きつい視線を向けた。

そして目の前で見せてしまった失態を恥じるかのように、軽く咳払いをして

己よりも一回り幼い子ども…修兵を見据えた。

「…朽木白哉だ。」

「…檜佐木修兵です。」

「………。」

「………。」


互いの名前を名乗った後から、会話が続かず

黙り込んでしまった二人に、拳西も夜一も困ったような表情を浮かべ、互いの顔を見合わせ

深いため息を思わず吐いてしまっていた。

何か話せればと思い、夜一は此処最近耳にしている話を、修兵に問い始めていた。

大袈裟に、今思い出したと云う様に、手を打ち

興味津津の口調で

「おおそういえば、拳西から聞いたぞ。修兵、お主…最近六車九番隊の者達に、稽古をして貰っているそうだな。」


如何じゃ、楽しいか?


其の言葉に、修兵は、一度、拳西の方を見上げた。

拳西はほんの少し困ったように眉根を寄せ

「修兵、いつも言っているだろう。聞かれた事に対して、ちゃんと自分で答えろって。」

「…うっ」

「言えるだろ?」

拳西の言葉に、修兵は困ったように、何度も彼を見上げ

何度も夜一達二人を見遣ったが

やがて、夜一に問われた事に対して、答えを返した。

「……あの、えと…たのしいです。」

未だ緊張が解けないのか

それとも己より上の少年の纏う、空気に気圧されたのか

修兵が浮かべた笑みは、ぎこちないものとなってしまった。

夜一は修兵の表情が強張ってしまったのは

この隣にいる無表情を浮かべ、興味なさそうに話を聞いていた

白哉のせいだろうと見当をつけると、いきなり、彼の頭を叩いていた。

其の行動には修兵だけではなく、拳西も驚いてしまう位の素早さだった。

「此れ!いつまで斯様な仏頂面を修坊に見せるでない。」

夜一は、自分の執った行動に驚いてしまっている事等

気にも留めず二人に対して、彼女は遠慮なく指を差し

「見ろ、可愛い修兵が…お主の顔を見て怖がって見ているではないか!」

「仏頂面は、生まれ付きだ。」

憎まれ口を叩き、ぷいっと、そっぽを向けば

「全く…口ばかり達者になりおって………。」

ほとほと呆れ果てた様に肩を竦め、修兵に向き直ると

夜一は身を軽く乗り出し、二人が仲良くなれるように在る話題を持ち出してみた。

「修兵小奴はな…確かに性格は褒められたものではないが…実は、剣術に長けておる。」


腕前は…まあ、儂よりは劣るが、なかなかの腕前だぞ。



夜一の口から出てくる言葉に、興味が湧いたのか

修兵の表情が、子ども特有の好奇心に駆られ始めている、顔へと変わり始めていた。
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