ゆえの日常生活と創作小話。
調子に乗った!
2009年11月11日 (水) | 編集 |

うーん、ネコの正体判った人いるかな。

気まぐれ連載3話目…次は阿近さん視点で書きたい。

ミニ小話から、カテゴリー移し替えました。

「ねえ阿近さん、この子の頸につけてた、此れってさ謂わゆる(鑑札)って奴?」

「だろうな…組織で行われている……人身売買の証に違いないだろう。」




修兵が手しているのは

修兵が拾ってきた、小さな猫の頸につけられていた

鈴のついた首輪と、ドッグタグ

其の銀色のプレートには、ナンバーだけでなく

更に、ご丁寧に、名前らしきものが一緒に彫ってあるのだ。

「…こんなちっこい時から、売り買いされてんだ。」


この子、自分のお母さんの事、憶えているのかな。


修兵は自分のベッドで、すうすうと安心して眠っている

猫に視線を向けた。

彼女の幼い手は、修兵の服の裾をしっかりと握り締めていた。

「母親の事は恐らく、憶えてねえだろうな。」


大体組織が浚ってくるのは、物心つく前の幼児か、乳児だ……。


その時に連れて来られているんじゃ、まず親の顔なんざ


忘れているといった方が、正しいだろうな。


阿近の口から、吐き出された言葉に

修兵は「…可哀想に」と、呟けば

「お前は未だ母親と一緒にいた、記憶があるだけ、マシな方だな。」


…まあ、お前の場合は、前から目をつけられていたってだけの話だがな。


其の時の事を思い出したのか

修兵は、阿近に向かって首輪を投げ付けた。

阿近は難なく受け止め

修兵の方を見遣れば、口元には冷たい笑みが浮かんでいた。


「ほんと、ありえねえ…母親の葬儀が終わった次の日に拉致されて、売り飛ばされるなんてさ。」


売り飛ばされる寸前に隙を見つけて、逃げ出して……


阿近さんに拾って貰わなかったら……


俺、如何なっていたんだろうね。


何でもないように笑って、平気で口にする、修兵に

阿近は、彼の頭を乱暴に撫でて

「そりゃ運がよけりゃ何処かの、おっさんの愛人になってたか、悪けりゃ、外国行きだな。」


其処で死ぬまで、犯されて、薬づけ……最後は、コレだろうな。


淡々と告げた言葉の後、阿近が見せた構図に

修兵は苦笑いし

「だよねえ~…ほんと、俺、阿近さんに拾われて良かったかも。」

「俺は迷惑だけどな…全く、右顔面血だらけで拾うって云うのもな、縁起が悪いんだよ。」

「ひでえ!俺家事全般引き受けてんのに…そう云う事いう?」

「居候させてやっているんだ、其れ位当たり前だろ。」

二人の声が眠りの妨げになったのか

ベッドの住人が小さく身じろぎ

トロンとした、表情で彼らを見ていた。

修兵はにこりと笑うと、彼女の髪を梳いてやりながら

「まだ眠ってていいよ…。」

その言葉に安心したのか

綺麗な翡翠色の瞳を閉じて、また夢の住人へと戻っていった。

布団を掛け直してやると、今度こそ起こさぬように

そっと部屋を出た…。

「ねえ、阿近さん…あの子さ、此処にいても良いでしょ?」


俺ちゃんと面倒みるし…3人だと、尤楽しくなると思うんだ。


修兵の言葉に、阿近は、軽く溜め息を吐いた。

犬や猫を拾って来て世話をするのとは違う……。

修兵が連れて来たのは

歴とした、人間の女の子なのだ………しかも、組織が絡んでいる。

面倒な事にならなければ良いがと思いながらも

「反対しても無駄なんだろうが…俺は面倒みねえぞ。お前が、ちゃんと世話をしろよ。」

「判ってる、ありがとう…阿近さん!!」



そう…自分は結局、修兵に甘いのだ………。

以前の己なら考えられない筈なのに

若しかしたら…自分も修兵と同じ物を求めているのかも知れない………。



『家族』という名の、箱庭を……
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